悩み多き哲学者の災難 (ハヤカワ文庫 NV)

悩み多き哲学者の災難 (ハヤカワ文庫 NV)

ヴィトゲンシュタインにこだわる大学の哲学教授が降りかかった誘拐の嫌疑に揺れ動く様を描いた作品。怒るほどではないが、ミステリだと思って読むと微妙に肩透かしを喰う気がする。おもしろいか、おもしろくないかも微妙。もう少しだめ度がはっきりしてたら途中で放り出すんだが…
語り手が嫌疑かけられてる本人だから、最後まで隠しとおすための叙述が原因だろうけど、なんか全部が中途半端。仕方ないよね、読者は彼の目を通して作品世界を見るんだから。もう叙述トリックとか言うのやめにしようよー
ヴィ(ryのこと知らない読者もたくさんいるでしょうから、講義一回分くらい彼の伝記と思想について概論があるといいと感じた。知ってて読むが小吉くらい。
それで、ヴィ(ryにこだわるんだったら、もっとあからさまでドラマティックに重ねてくれればいいのに、これも中途半端。けどまあそれで逆にリアルに感じられるような気もするが、これば騙されているんだろうなぁ。
あとおもしろくない講義のシーンがほんとに面白くないのはすばらしいが、正直勘弁してほしい。
この読後感は狙っているのかもしれないけどどうもピンこない。もっと単純におもしろさを追求したところがあってもいいのに。
個人的には奥さんとの関係がたいへんに魅力的ではないので、結婚したくねーと感じさせられました。

ここまで書いててなんだけど、なんかあるのかなって思わされる作品ではあるよ。